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永利和則氏|福岡女子短期大学特任教授・前福岡県小郡市立図書館長・日本図書館協会理事

求められる学校支援

福岡女子短期大学特任教授・前福岡県小郡市立図書館長・日本図書館協会理事
現在、日本図書館協会理事をはじめ様々な役職を兼任し、「指定管理者制度」及び「公共図書館と学校図書館の連携」をテーマにした記事を雑誌等に多数掲載している。今回は求められる学校支援についてお話いただきます。

図書館リレートーク 永利和則氏永利 和則 氏(ながとし かずのり)

福岡女子短期大学特任教授・前福岡県小郡市立図書館長・日本図書館協会理事。
1955年福岡県生まれ。1979年4月小郡市役所入庁し、2017年3月退職。その間、小郡市立図書館は21年間勤務、2008年4月から2016年3月まで館長を務める。2017年4月から福岡女子短期大学で司書課程を担当。現在、日本図書館協会理事、日本子どもの本研究会理事、日本図書館研究会評議員、佐賀県基山町立図書館協議会委員長、福岡県小郡市図書館協議会副委員長他。「指定管理者制度」及び「公共図書館と学校図書館の連携」をテーマにした記事を雑誌等に多数掲載している。

図書館リレートーク 遠藤純氏 ライン本

学校支援のきっかけ

小郡市立図書館に在職していた折に、市内の小学校の先生から「市立図書館で小郡の郷土のことについて調べておいで。」という宿題を出された小学生たちが五月雨式にやって来て、対応に苦労したことがあった。最初に来た子どもにはきちんと資料を提供できたが、後から来た子どもたちには貸出す資料がなくなっていた。それは、子どもたちはもちろん先生や市立図書館の職員にとっても不幸なことであった。しかし、このことがきっかけとなり、小郡市では市立図書館と学校との連携・支援を開始する。

「調べ学習」の重要性

「調べ学習」と称して、全国各地の公共図書館で小学生が押し寄せてくるような事態となったのは、1998年の学習指導要領改正に伴う「総合的な学習の時間」の導入からであった。しかし、2003年にPISAショックが起こり、その原因が「ゆとり教育」だと批判されて、「総合的な学習の時間」の授業数が減り、「調べ学習」の時間確保も厳しくなった。ところが、現行の学習指導要領(2008年改訂)では、「生きる力」を習得するための必要な要素として「言語活動の充実」が謳われ、全ての教科・科目において学校図書館の活用が盛り込まれている。

学校図書館の様子

一方、文部科学省は、学校図書館の重要性に鑑み、2015年には地方交付税措置や読書と学力の関係などPRパンフレットを作成したり、「学校図書館ガイドライン」を全国の教育委員会に通知したりして、具体的な取り組みを働きかけている。

文部科学省の調査によれば、小学校・中学校の学校司書の配置率が毎回上昇し、2016年度では60%弱となったが、常勤職員は10%台と厳しい。公共図書館との連携は小学校82.2%、中学校57.5%が実施しているが、「学校への資料貸出」がほとんどで、「定期的な連絡会」や「図書館司書の学校訪問」のように公共図書館と学校図書館の人が直接関係する取り組みは10~20%台でしかない。人が関係する連携が進まない要因には学校図書館と公共図書館の双方に司書教諭・学校司書・司書といった専門的職員の配置が不十分であることとともに学校図書館と公共図書館を結びつける仕組みが整っていないことが考えられている。

これからの展望

文部科学省は、新しい時代に必要となる資質・能力を学ぶための学習指導要領の改訂作業をしていて、その方向性を昨年末に示した。それによると、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等を主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)で育成するとしているので、そのための方法として、今まで以上に学校図書館の活用が考えられる。

このような中では、地域の学校を支える公共図書館の役割も増大してくるし、そのことを可能にする組織作りも急がなければならない。最近、学校図書館支援センターが全国各地で設置されているのもそのひとつの表れではないだろうか。学校図書館支援センターを市立図書館、教育センターのいずれが所管するのかによってその性格は大きく違ってくるものの、一人職場である学校図書館の学校司書を自治体全体で支えて、学校図書館が持っている力を引き出していこうという流れはこれからも続いていくものと確信している。





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