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遠藤純氏|大阪国際児童文学振興財団理事・特別専門員

子ども向け図書検索システムの開発。
最初は子どもの本の物語件名(キーワード)の付与から始まりました。

大阪国際児童文学振興財団理事・特別専門員。京都華頂大学現代家政学部准教授。
主な専門領域は、宮沢賢治研究および日本児童文学史。近年は、作家・巖谷小波と口演童話について研究している。今回は子ども向け図書検索システムの開発についてお話いただきます。

図書館リレートーク 遠藤純氏 写真遠藤 純 氏(えんどう じゅん)

大阪国際児童文学振興財団理事・特別専門員。京都華頂大学現代家政学部准教授。
主な専門領域は、宮沢賢治研究および日本児童文学史。近年は、明治期の児童文学・児童文化に関心があり、特に日本児童文学を切り拓いた作家・巖谷小波と口演童話について研究している。共著に『「もの」から読み解く世界児童文学事典』(原書房)『児童文化と子ども文化』(港の人)など。

図書館リレートーク 遠藤純氏 ライン本

子どもが使える、子どものための検索システムがない

1990年代、急速に普及した図書館の電算化やネットワーク構築により、図書の検索はカードからオフコン、そしてパーソナルコンピュータへと目まぐるしく代わりました。この過程で大人向けの図書検索システムはどんどん開発されていきましたが、子どもに特化した特徴ある検索システムはほとんどみられませんでした。数少ない市販のアプリケーションソフトも、学習件名などをもとに、科学や知識の本を調べるものが中心でした。

このような背景から、私たちは子どもがより豊かな物語と出会うために、子ども向け図書検索システムの開発に着手。物語を探すキーワード体系表を登載し、ゲーム的要素を加えた国内初の子ども向けシステム「本の海大冒険」(2001年)を構築しました。

(参考)本の海大冒険

物語件名(キーワード)の体系化

「本の海大冒険」に登載したのが、物語件名(キーワード)体系表です。それまでに児童書(物語)に付与していた約2万冊分、5,000語のキーワードを体系化して構築しました。 作成にあたっては、類義語や同音異義語にも留意。例えば昔話「さるかに合戦」と「さるとかに」や、親族や位などの呼び名に関する「女王」と「王妃」「妃」、「おじいさん」と「祖父」など、また「ダイヤモンド」と「ダイアモンド」のような表記の違いや、「教師」と「教員」と「先生」のような職業に関する名称などを、どちらの言葉でも検索できるようにしました。

付与するキーワードが整理できず、割れたままになれば、検索の精度が落ちて求める情報を的確に得ることができません。まずは言葉としてのキーワードを整理・分類することが必要であり、それらを管理するシステム、すなわち物語キーワード体系表が必要と考えたのです。
さらに、整理したキーワードを階層管理することとし、「おにごっこ」「かくれんぼ」「いろおに」などをその上位概念である「あそび」で括りました。それにより、個別の遊びの内容でも検索でき、かつそれらを抱合する上位概念が存在することによって、一括での検索が可能になりました。物語キーワード体系表は3層とし(最下層KW=3,529語、これらにシソーラス2,389語が紐づく)、「本の海大冒険」に登載、書誌にリンクさせて物語の本探しのツールとしました。

「ほんナビきっず」の稼働

富士通システムズアプリケーション&サポート(当時:富士通東北システムズ)は、その「本の海大冒険」に目を留めてくださり、筑波大学図書館情報学研究科(当時)を含めて望ましい子ども向け図書検索システムに関する共同研究を行い、その成果として「ほんナビきっず」(2008年)を開発・公開しました。

サイトの特徴は、「思いついた言葉」をキーワードとして投げる一般的な検索方法だけではなく、画面上に表示される画像アイテムを選択(これがキーワード検索となる)していくことで、その子どもにおすすめの本を紹介するシステムです。絵本作家・長新太さんのキャラクターをナビゲート役に、バスに乗って楽しい本探しに出かけるというシナリオで構成。検索項目として、空間やキャラクター、アイテムに加えて子どもの読後感情(「かなしい」「うれしい」「こわい」などの気持ち)も選択できるようにしました。

「本の海大冒険」も低学年向きと高学年向きに分けてメニューや紹介する本を分けていますが、「ほんナビきっず」では、キーワード体系表も対象年齢によって異なるものを用意しました。あらすじの作成にあたっては年齢を意識して記述。使用漢字は学年別配当を視野に置いて記載し、細部にわたるまで、徹底的に子どもを意識して作成しました。

他にも、科学・知識の本をNDC分類から探すページ、本のおすすめポイントを書いたり読んだりできるページ、新しい本や作家の情報、テーマ別本の紹介などを行うページなどがあります。

加えて「ほんナビきっず」が「本の海大冒険」と大きく違うのは、図書館の所蔵データと結びつけることが可能だということです。富士通システムズアプリケーション&サポートが開発し、現在、全国58市町村で使用されています。

1年に4回程度、新しい本のデータを更新しているので、現在では約17,000冊の本が入っています。データの蓄積によって、年々、より充実したサイトになっています。

検索サイトとしては無料で使っていただくことができます。ぜひ、サイトをのぞいていただき、興味を持っていただければ、バナーを学校図書館や公共図書館のサイトに貼ってください。

(参考)ほんナビきっず



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