鳥取県立米子東高等学校 | 鳥取県 | 【特集】元気な学校図書館プロジェクト | りぶしる 図書館をつなげる情報共有サイト -全国の図書館の現場から-

鳥取県立米子東高等学校

図書館は校内の「ハブ(つなぎ目)‼」

「授業を支える」「読む力を育む」「進路を支える」「つながりの場をつくる」多様性を求める高等学校の図書館とは・・

とんがれ (べい)(とう)(べいとう=米子東高校)!

■校訓:質実剛健 校風:文武両道

元気な学校図書館 鳥取県米子東高校 校舎外観創立:1899年(明治32年4月1日)平成28年で創立117年を迎える。
所在地:〒683-0051鳥取県米子市勝田町1番地
電話:0859-22-2178
E-mail:yonagoe-h@mailk.torikyo.ed.jp
HP:http://www.torikyo.ed.jp/yonagoe-h/
・生徒数 1018名/普通科(24クラス)/定時制(3クラス)/教職員数 約100名
・定員は普通コース(1学年・280名)と生命科学コース(1学年・40名)及び定時制(1学年・30名)全日制課程では大学進学率は100%近い。近年、医学部へ進学する生徒も多い。(鳥取大学医学部は米子市に設置)
・商都である米子市には「反骨精神」の気質があり、学校のウェブサイトは「とんがれ米東(べいとう)」を掲げて、「目立つ、光る、自己主張する」ことを発信している。



教育目標

21世紀を担うリーダーの育成
○人間理解のできる生徒の育成
○問題意識のある生徒の育成
○自己表現のできる生徒の育成

(参考)米子東高等学校教育方針



学校長へのインタビュー

元気な学校図書館 鳥取県米子東高校 校長先生取材に対応いただいた
山根 孝正 校長先生

はじめに、学校の教育方針と図書館の位置づけ、活用についてお聞かせください。

【校 長】

・当校は地方にある進学校ですが、学校の使命は「進学率を高めること」ではないと考えています。今世紀に入って「21世紀を担うリーダーの育成」を学校の使命に据えて、商都・米子に相応しい人材の育成に取り組んでいます。「とんがれ米東」はこのことを表すキャッチフレーズです。具体的な方針として重視していることに「探究的活動の推進」「アクティブ・ラーニングの推進」があります。近年、"このような職業に就きたいから、この大学に進む"という実学志向の傾向が見られますが、"さまざまな知識や人に触れ、課題やその解決方法を自ら見つけ出し、学ぶために進学する"という考え方が必要なのです。フランス文学やドイツ哲学を学ぶことも大切なのです。また、先生方には「アクティブ・ラーニング」に取り組んでもらっています。要は「教師が何を教えたかではなく、生徒が何を学んだか。」です。
本校ではスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校を申請し、探究的活動を一層進めていきます。そのためには多様な情報を持ち、提供していく環境が必要であり、それが図書館の役割です。

・また、イギリスのEU離脱やアメリカの大統領選に象徴されるように、さまざまな価値の変革が起きています。当校では、長らく台湾の国立陽明高級中学と交流をしております。チェコに留学した生徒やフィンランドからの留学生もおりますし、報告の場、交流の場としても図書館を活用しています。このように図書館は多様な文化や考え方・人に触れながら情報の共有や発信をしていく拠点でもあります。

*フィンランドからの留学生はAFS受入プログラムで受け入れている。

「アクティブ・ラーニング推進事業」について教えてください。

【校 長】

・東京大学で"知識構成型ジグソー法"についての指導を受けています。また、県外から実践力のある先生をお招きし、さまざまな手法を学びながら、授業の変革を進めています。いずれの手法であっても、主眼は「教師が何を教えたかではなく、生徒が何を学んだか。」です。

【宇田川】

・図書館がどのようにアクティブ・ラーニングに役立つことができるか、試行錯誤を繰り返しているところです。急速にすすんでいる状況ではありませんが、図書館が役割を果たせるよう取り組んでいきたいと考えています。

鳥取県では、県立高校に正職員の司書を配置しています。どのような効果が見られますか。

【校 長】

・(県立高校では)平成14年度から正職員として、学校司書を配置しています。当時、私は県教委で指導主事をしていましたが、担当の係長も積極的で、また、高等学校課長や知事の理解もあって「正職員配置」となりました。10年余経過し、司書の責任や自覚が認識され、図書館は格段に良くなりました。



図書館の特徴

■図書基本情報

元気な学校図書館 鳥取県米子東高校 グラフ1

■学校図書館を支える人・資料・環境

元気な学校図書館 鳥取県米子東高校 門脇先生と宇田川さん対応頂いた司書教諭の門脇先生(左)と
学校司書で司書主任 兼
県立図書館支援協力課係長の宇田川さん(右)

活動概要

米子東高校図書館は、「主体的な生徒の活動を支える場」「生徒や教師のコミュニティの場」として活動・運営されている。6月に改築された本館の玄関を入ってすぐの正面にあり、2~3年生の教室や教務室とも近い。館内には、県産材のヒノキやスギがふんだんに使われており、中に入ると木の香りがする。「多様性のある図書館」をコンセプトに考えられた図書館には、館内のあちこちに展示スペースがあり、読書への誘いや、生徒の活動紹介などが行われていた。また、54席の学習スペースには、授業のためのホワイトボードとプ ロジェクターがあり、8基の机の下にパソコンも使用できるよう電源とLAN コンセントが用意されている。書架に囲まれた学習スペースは、時にはビブリオバトルやミニコンサートなどのイベントスペースとしても使われているとのことだった。

(参考)平成28年度米子東高等学校図書館年間計画
(参考)平成27年度米子東高等学校図書館活動報告

進路指導部に所属

・図書館は進路指導部に所属している。職員は2名。司書教諭の門脇教子先生と学校図書館司書主任の宇田川恵理さん(県立図書館支援協力課係長兼務)である。鳥取県では図書館を学内のどこの分掌に配置するかの決まりはないようである。教務部や情報部など学校の事情によってそれぞれであるが、進学校である米子東高校で進路指導部に置かれているのは、理にかなった考え方とも思える。進学を希望する生徒にとって、さまざまな大学や入試の充実した情報が得られ、また、先生方や司書さんとの相談などがスムーズに行える。また、学校側としても進路に関わる生徒への対応で、連携が図りやすい。

つながる場

・図書館では、留学生の体験発表や台湾国立学校との交流など、国際交流の報告会も行われ、多くの生徒が自発的に参加している。学校で開催するさまざまなイベントや学習活動の発表の場として図書館が使われることもある。平成28年度現在校内には多目的ホールはないが、そこを図書館が補っていると思われる。

進路を支える

・利用が盛んな新聞記事検索データべース
新聞は全国紙3紙、地方紙2紙、英字新聞1紙を揃えている。新聞記事の検索・閲覧には朝日新聞が提供する有料インターネットサービス「朝日けんさくくん」も利用している。

・米子東高校図書館では、生徒が入学するとすぐ、新入生オリエンテーションで新書を読むことを勧めている。入試対策というだけでなく、興味・関心を広げ、学問の対象に自ら近づこうとし、思索する習慣を身につけて欲しいというのが狙いである。 図書館では、新書を分類ごとに表示した"NDC新書マップ"や、新書の選び方を解説した資料を作成し、いろいろな機会を通じて、生徒の新書へのチャレンジをサポートしている。

(参考)NDC新書マップ

図書館を支える鳥取県の制度

・学校図書館支援センター

鳥取県では西部、中部、東部地区を担当する司書主任をそれぞれ配置(県立図書館の支援協力課係長職を兼務)。例えば、米子東高校に勤務している宇田川さんは米子市を中心とする西部地区を担当している。また、これとは別に、県立図書館にある学校図書館支援センターには小中学校課、高等学校課の指導主事でもある学校図書館支援員がそれぞれおり、一緒になって地区内の学校や市町村図書館の支援を行っている。このように、各地区を担当する主任司書はその地区の「横糸役」、学校図書館支援員は小中校・高校をサポートする「縦糸役」となっている極めてユニークな体制を敷いている。

元気な学校図書館 米子東高校 図1

・鳥取県立図書館等との連携

鳥取県内のすべての高校同様、米子東高校も県立図書館と連携しながら機能している。借受冊数は年3,000冊あまり。ネットワークを利用して貸出申込をすると、最短で2日(翌日)で配送され、"量""質"両面で民間の宅配サービス会社も凌ぐ。教師は自宅からも申し込み可能で、学校で本を受け取れる。また、学校間での相互貸借も行っている。米子東高校では家庭科の授業用資料として50冊程度の料理本が必要となったが、県立図書館と他校からの貸出で対応したそうである。このように県立図書館や他校との貸借がスムーズに行えるのは、相互貸借システムの整備の充実とともに、司書同士のネットワークが築かれているためだと思われる。

・読書キャンペーン事業

鳥取県では各学校で独自の活動が行える事業を設けている。米子東高校はこの事業を活用して、読書推進に関わる図書館活動を行っている。文化祭でのビブリオバトルや専門家を招いての講座(昨年度はキャッチコピーの作成講座)などを行っている。



図書館からのおすすめ本

No図書名著作者レコメンド
1 『天災と日本人』 寺田寅彦 科学者は哲学者であると思います。しみじみと時間をかけて読みたい本です。
2 『高校生記者が見た原発・ジェンダー・ゆとり教育』 灘校新聞委員会/著 自分で求め、考え、言葉にする労を惜しまない姿勢には感心しました。
3 『ヒーローを待っていても世界は変わらない』 湯浅誠 政治分野は苦手だなと思っている人へ、入り口として読んでみてください。
4 『イザベラ・バードの旅』 宮本常一 イギリス人女性による明治初期の日本(東北~北海道)の記録です。宮本常一氏のコメントがさえています。
5 『ヘンな日本美術史』 山口晃 「美術」も、時代や社会の価値観を表します。
6 『眠れなくなる宇宙のはなし』 佐藤勝彦 なぜ人は宇宙に魅せされるのか?楽しく読める宇宙の本です。新版も出版されました。



図書館のシーンあれこれ

図書館の写真をご覧いただけます。

こちら



取材後記

 新築間もない米子東高校の校舎の中心に図書館が設置されており、生徒や教職員などが最もアクセスしやすい場所にある。図書館をご案内頂いて強く感じたことは、教職員や生徒さんが、新たな())図書館の歴史を作り出す一体感である。蔵書や排架、ポスターやデータべ-スなど、自律的・自発的に利用し、かつ快適性のある「場」としての図書館。保護者や地域の方々など、来校の際は是非、図書館を訪問してみてください。

 とんがれ()()図書館‼

(菅原)

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図書館サービス向上委員会