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視察報告 松江市学校図書館支援センター

松江市学校図書館支援センター

(2018年12月19日視察)

所在地:〒690-8540 島根県松江市末次町86番地
松江市教育委員会 学校教育課
電話:0852-55-5417
FAX:0852-55-5251

対応いただいた方々

学校教育課 指導研修係長:川上 淳一 様(中央)
教育指導講師:林  良子 様(右)
支援スタッフ:錦織早由利 様(左)

取材に対応いただいた方々

松江市学校図書館支援センターの特長

子どもたちの豊かな学びをめざした「学校図書館活用教育」を推進

学校図書館支援センターは市立学校の図書館運営や活用、学校図書館間の連携などを支援するため、学校教育課に設置されている。
 松江市では2006年(平成18年)に学校図書館支援センター(以下、支援センターと記す)を開設したが、これに先がけ2001年(平成13年)、小中学校で2校に学校司書の配置を始めていた。学校図書館の活用・運営を進めるには学校司書の配置が必要であると考えたからだ。以降、段階的に配置校を拡大し、あわせて支援体制を整えてきた。2011年には市内全校(小学校33校、中学校16校)に学校司書の配置を遂げている。
 全国的には、支援センターが設置されるのは、①公立図書館のような社会教育の部署、②教育センターや学校教育課のような学校教育に係る部署のふたつに大別される。それぞれに地域性にあわせた特徴があり一概に論じることはできないが、松江市の場合は、②の学校教育課に属していることで、学校との距離感が小さく、活動や実践に結びつきやすい提案がスムーズに行えるというメリットがあるということだ。松江市の支援センターは、支援センター長に副教育長、副センター長には学校教育課長が就き、また指導主事を3名配置、さらに指導講師、支援スタッフ2名の総勢8名で構成されている。この組織体制はかなり強固であり、人や世代が変わっても、ぶれない方針で支援センターを継承できると感じた。
 支援センターと学校が密な連携を行うには、情報発信と物流システムも重要なポイントとなる。そこで支援センターはホームページを2007年にいち早く開設し、インターネットを介した情報発信を始めた。2009年には、学校図書館業務のコンピュータを導入して環境を整備し、作業の効率化を図った。そして、イントラネットで情報共有を図る「校務グループウエア」(略称:校務GW)も整えている。また、物流面では、2011年に市立図書館及び全校で所蔵する資料を相互貸借して共同利用するネットワークも整備している。

 学校図書館活用教育では、小中一貫教育基本カリキュラムとして「学び方指導体系表」(松江市HPで公開)の活用を重点に据えられている。これは学習指導要領や松江市で使用する教科書を基本として学年ごとに指導事項を記したもので、これが市内共通の拠り所となり、各学校の授業で具体的な学校図書館活用教育となって展開されている。

小中一貫教育の視点での学校図書館の活用・運営

 松江市では、子どもたちに必要となる学ぶ力を発達段階に応じて積み上げていくという考え方で、中学校区の連携による一貫した視点を教育の軸に据えている。これが前述した「学び方指導体系表」として示されている。この体系表は横軸に学年(小学1年生~中学3年生)を表し、これと対応する"知る"~"見つける"~"つかむ"~"まとめる"~"伝え合う"、そして"振り返り"の学習要素を縦軸に記したマトリックス構造となっている。そして、このマトリックス内の各セルにある指導事項は、関連単元例が、松江市教育委員会校務GWの共有フォルダに掲載されており、各学校では学習指導案の作成などに活用することができる。

専門性を高めるための充実した研修で人材を育成

 支援センターでは、司書教諭や学校司書に、必要感のある内容で、多彩な研修カリキュラムを設け、人材の継続的な育成に取り組んでいる。司書教諭と学校司書の合同研修会ではスキルアップとチームワークを、中学校区ごとのブロック別研修会では小中一貫教育の視点で情報交換を行い、授業を学び合う。また、学校司書の異動や新規配置となった学校を支援センターが訪問する。さらに教育指導講師による校内研修や授業案、実践に関する情報提供なども行う。また、島根県の学校図書館活用教育研究事業の指定校へも訪問して、情報の共有をしたり、相談にのったりするなど、広く開かれた支援センターである。

活用が期待される「校務グループウエア」

取材に対応いただいた方々
松江市教育委員会校務GW全体概要図:支援センター提供

 学校図書館の活用が進むと担当者による「授業支援」が活発になる。先進的な取り組みを行ってきた学校が、授業の進め方や用いた資料等の情報、その評価や課題などをデータベース化し、関係者で共有できると他校に役立つ情報となる。松江市では市教育委員会と市立学校とのイントラネットである校務GWの中で、学校図書館活用教育に関する情報の共有化を図っている。共有している情報の全体概要は図の通りである。

視察を終えて

 今回の視察を通じて、松江市学校図書館支援センターでは、教育を支える"学び方指導体系表"、指導主事等の配置、中学校区ごとの研修会開催などで、"小中一貫教育の視点"で小学校・中学校両面から子どもたちを俯瞰し、一歩踏み込んだ施策を取っていると感じた。
 また、学校図書館活用教育のポイントとして、学校長の理解が不可欠であり、司書教諭と学校司書の協働を図る体制を整える校内運営組織を設けることが重要であると感じた。松江市学校図書館支援センターが、充実した研修やグループウエアを活用した情報共有等で、そのような学校現場を支えている姿が大変印象的であった。このような取り組みが、全国の自治体にも広がっていくことを願っている。



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